イナゴ、ヘボ、ドッチ 

私の母親は奥三河の出身で、子供のころ、春から夏のシーズンには、天井裏でお蚕を飼っていたそうです。
土地柄もあり、また戦時中だったこともあって、たんぱく源となる食糧が不足していました。

そこで、南信州を含めたこの地域では、{ヘボ}とか、{ドッチ}とか、{イナゴ}をよく食べていたそうです。
イナゴは漱石の坊ちゃんにも登場するバッタに似た昆虫で、つくだ煮のようにすると、小エビの珍味のような味で食べられます。

 

ヘボは{黒スズメバチ}の幼虫で、しょうゆ漬けにしたものを混ぜご飯にするととてもおいしく、私が子供のころ、母親の在所に行くと、ごちそうとして出されました。

ドッチは蚕の繭をほどいた蛹で、たんぱく質や脂肪酸がとても良質だそうですが、私は食べたことはありません。
豊橋は戦前養蚕がとても盛んだったので、85歳以上の人であれば、ドッチを口にしたことのある人がいるかもしれません。

 

この前テレビで、「10年後私たちは何を食べているのか??」という番組をやってました。
世界的な人口の増加、紛争、自然破壊や異常気象などで、食糧やエネルギーが不足するから、特に不足したたんぱく質を補うために、繁殖力の旺盛な昆虫を利用するといった内容でした。

10年くらいで食卓に昆虫の料理が出てくるとは思えませんが、すでに昆虫のパウダーを原料の一部に利用したビスケットなどはスーパーで売られていますし、家畜の飼料に利用されているようなので、すでに私たちは昆虫食の世界に足を踏み入れているのかもしれません。

 

奥三河や南信州にお出かけの時は、道の駅などでイナゴやヘボを探して、おいしそうと思ったら、お買い求めください。(蒲郡支店 吉見)

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