「ビギン」がボランティア活動をスタートしてから今年で16年目になりますが、今回は毎月開催している「教室」の利用者さんのお話をしたいと思います。文字が見えづらくなった、一人での外出が大変になった、この先どうしたらいいのかしら。視覚障がいになった方が感じる不安や不便です。
7年ほど前、60歳を過ぎて目の病気が進行した方から相談の電話がありました。お話を聞きながら必要と思われる情報を提供し、パソコン・スマホ教室に来てもらったり、病気の治療も続けながら3年ぐらいはゆっくりと、どちらかというと受け身のペースで進んでいたのですが、ある時から「スマホでLINEがしたい、ナビの機能で歩きたい」と積極的な発言と行動に変化したのです。
ある日の教室で、「今日はどうやってここに来たの?」と聞くと「家から駅まで歩いて、電車で豊橋駅まで行き、市電に乗り換えて前畑の電停で降りて、あいトピアまで歩いてきたよ」と軽く返事。それを聞いたみんなは「えー!うそ-!」その時の彼の顔は輝いて見えました。
後で聞いたのですが、スマホの使い方を練習していてYouTubeを見ることができるようになったそうです。どんなことをやっているのかと「視覚障がい」を検索すると、えッ、青信号で横断歩道を渡ってる。えッ、ひとりで喫茶店に行ってる。えッ、支払いは電子マネー。
何にもできないとふさぎ込んでいたそうですが、この動画をみて「俺もまだできる」と感じたそうです。「それからです、積極的になったのは」とのこと。
その後は、パソコン・スマホ教室は皆勤賞。コロナ禍で教室が開けないときは、いろんな質問はLINEでどんどん寄せられました。みるみるうちにスマホは教えられる側から教える側へ、その姿を見ていたほかの利用者さんも負けじとばかりに変身。今ではスマホ以外に点字も読みたいと「点字教室」にも参加するようになり、また、教室が終わるお昼ごろになると、「どこでお昼食べていく?」とみんなを誘って行動範囲を広げています。
どこかで聞きましたが、何歳になってもきょういく(教育ではなく今日出かけること)ときょうよう(教養ではなく今日やる用事)は必要ですね。(本部 おにづか)
いくつになっても教育と教養は必要です。
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