部屋のガラクタを片付けていたら、古いプラモデルの箱の中から、皮膜の一部のはがれた古いイヤホンとマッチ箱くらいのプラスチックのケースが出てきました。
中学生のころに作った鉱石ラジオの残骸でした。
鉱石ラジオとは、コイルとコンデンサとダイオード、これだけの部品で構成する最も簡素なラジオです。
ワイヤーアンテナから取り込んだ電波をコイル(電磁石)と容量を変化させられるコンデンサーにつなぐと選局ができ、ダイオードを仲介して通常の5倍くらいの感度のイヤホンに流すと、AMラジオの放送が聞こえるのです。
トランジスタや真空管はないので、電池などの電源は入りませんというか、電池がなくても聞こえるのです。
ダイオードの素材がシリコンやゲルマニュームだったことから、鉱石ラジオと呼ばれてました。
ここにアマチュア無線に夢中になったり、ステレオのスピーカーを作ったりと、ラジオ小僧吉見の原点があったのです。
視力が弱いと細かいはんだ付けはむつかしかったのですが、カギに曲げた部品の足に、はんだをてんこ盛りにして電子工作などもやりました。まさに古き良き思い出です。
近ごろは、放送局の都合で、番組の配信はAM放送を廃止して、FMやネット配信にしようという動きがあり、鉱石ラジオはさらに化石になりつつあります。
今どき鉱石ラジオを作ろうなんて子供はいないでしょうし、
キットなどが発売されることもないでしょう。それでもラジオ親父としては、なんでテレビが映るのか、なんでラジオが聞こえるのかなんてことを探求する子供がいてくれることを切望してやみません。(蒲郡支店 吉見)