ずいぶん昔の自分の目の不調体験など取るに足らない事なので書く事はないと思っていました。でも、ひと月前に耳にした、訪問先の施設職員さん同士の会話の内容が、30年ほど前、私が30代後半で経験した事と似ていたので、ふと書いてみようと思いました。
当時の私の仕事は、朝8時過ぎから夕方6時過ぎまで、10人ほどのお客様回りでした。昼食も車の中で食べ、その後15分ほど昼寝をして午後の仕事に入るというルーチンでした。それが、真夏のとても暑い日、車の中で1時間も寝てしまった事がありました。びっくりして飛び起き慌てて訪問先に向かいました。でもその日は疲労感だけで別に何事もありませんでした。
悲劇は次の日の朝に起きました。朝、起きたらすべての物が2つに見えて、片方の目は全く外側に動きません。市内で1,2の大きな病院へ行ったら、そのまま入院でした。特発性外転神経麻痺との診断でした。
当時はそれしかないということでステロイドの大量投与による治療がスタートし、1週間入院しました。退院後しばらく自宅療養した後、雇い主が私のために専属の運転手さんをつけてくれ仕事に復帰しました。
しかし、2ヶ月経っても3ヶ月経ってもやはり両目を開けているとすべての物が完全に2つに見えました。ご飯のおかずもすべて2皿ずつあるように見え、仕事のお客様も2人並んでいるように見えました。一番怖かったのが、対向車線を走ってくる車もすべて2台に見え、1台は突っ込んでくるように見えるという事でした。ただ、片目を閉じていれば普通に見えるし、楽なので、ほぼ片目を閉じて暮らしている状態でした。
そんな状態が続き、諦めかけていた4ヶ月目くらいからです。両目ではずっとすべての物が2つに見えていたのがある日突然、1つと4分の3、1つと半分のように見えるようになってきました。主治医の先生が「リハビリ的な事をやっても改善は無理です。」と言っていたので、それまでは何もしませんでしたが、そこからは毎日何回も寝ころんで天井を見上げて色んなパターンで目を動かす訓練をしました。多分、毎日2時間くらいはしていたと思います。そして、半年を少し過ぎた頃には乱視の人くらいの見え方になり、十分注意すれば車の運転もできる自信がつきました。
運転手さんにお世話になるのも終わり、8ケ月後にはステロイドの服用も終わり、毎月の通院も終わりました。「病名はトロサ・ハント症候群だと思ったけど、違っていたかもしれない。治ったのは外転神経の圧迫が取れたからでしょう」と最後に言われました。あほな私にはなんかよくわかりませんでしたが、諦めなくて良かったです。みなさんも、とにかく、夏の暑さには十分注意して下さいね!!!
(本部パートナー 吉永)