心構え

もう一度自転車に乗りたいと切に願う
70代女性Hさんの訪問が始まったのは、
平成29年7月のことです。

 

既往歴に脳梗塞、左片麻痺と
体幹の捻じれや右股関節の外旋などがみられ、
杖を持つ右手のひら・腰・右大腿部の痛みと
左右下腿の浮腫みに悩まされていたHさん、

訪問マッサージに伺い始めて間もなく
転倒による左大腿骨の骨折や2度目の脳梗塞、
それにコロナ禍でのらくなーるの休業により、
度々訪問を休止する事もありました。

 

 

マッサージに伺い始めた当初、
体幹の捻じれと右肩が下がった状態で肩甲骨の動きが無く、
座った際に右へ体が傾いていたため、ベットに寝てもらって
施術を行う前に傾いている骨盤の右側とベットの間に
タオルを挟みこみ正しい姿勢に補正してから
施術を行ってきましたが、今は体幹の捻じれも軽減し
タオルを使わずにスムーズに施術を行えるようになりました。

右股関節の外旋に関しては
動作時に大腿部に強い痛みがあるため、
慎重に施術を行いながら正しい姿勢に近づけていきます。

最近は座位の運動の際に内転筋に対して、
抵抗運動を加えてみたところ、
座位での正しい姿勢に近づいてきました。

 

左右下腿の浮腫みに関しては若干の改善は見られるものの、
まだまだ経過をみていく必要がありそうです。

 

 

施術中にいたたたたっと悲痛な声を上げながらも
会話をするのが大好きなHさんと、私たちは
これまでに色々とお話をしてきました。

 

 

元気だったころには
庭を整えたり孫のおせわをしたり太極拳を習ったりと、
いつも自転車で走り回っていたことや
今は亡きご主人との馴初めなど。

 

最近のお話と言えば、
早朝のラジオで毎朝紹介される花のことや
起床時に毎朝ベットの上で1時間かけて手足の運動をしないと
体の動きが悪いために起きることが出来ないこと。

野球やテレビの話題など色々とありますが
特にデイサービスでは最近、
平行棒を使って歩く練習を始めたことや
マージャン(新婚のころにご主人から教わったそうです)と
いつもスタッフさんが色々考えてくれるゲームも
楽しんでいるそうです。

 

 

そういえば今年の七夕の短冊には
「もう一度、自転車に乗りたい」と言う願いから
少しハードルを下げて「すいすいと歩けるようになりたい」と
願いをしたためたそうです。叶うと良いですね!

 

などなどのお話をしながら施術を行っていたある時、
枕もとでこつんと硬いものに手が触れて・・・!?
検めて手に取ってみると、それはヘルメット!!

 

 

Hさんに伺った所、前にご主人が使っていた物か、
息子さんが使っていた物かは分からないそうですが
押し入れの隅っこで見つけ、
災害に備え枕もとで再び日の目を見ることに成ったようです。

 

ヘルメットとHさん

ヘルメットもなんだか誇らしげにみえます!
らくなーるでも度々、防災について話し合いの場がありますが、
仕事中には利用者さんの所に訪問しマッサージを行うため、
常に移動するために、これと言った答えを出すことは難しい事です。

ヘルメットは用意出来ないかもしれないけれど、
心構えは見習いたいものですね。

最後に再び日の目を見ることができたヘルメット君へ、
決して起きてほしく無い事ではありますが、
あの日のご恩に報いるために災害時には、
必ずHさんのことを守ってくれたまえ!!(本部 當間)

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