ガイドヘルプ(移動介助)の基本 その5

少し時間が空きましたが、また「ガイドヘルプの基本」の連載を再開します。読者の皆さんが視覚障がい者のガイドヘルプをされるときの一助にしていただければ幸いです。さて、今回はガイド歩行の「移動介助の基本技術」の続きです。

(2)狭い所の通過
・部屋の入り口を入る時 ・有人改札口を通過する時
・エレベーターの乗り降りする時 ・混雑しているホーム、コンコースを移動する時
手順
①ガイドヘルパーは、立ち止まるか、又は歩く速度を落とし、狭い場所を通ることを言葉で伝えて、持たれている腕を背中側に回します。
②ガイドヘルパーと視覚障がい者は前後に一列に並んでその場を通過します。
③ガイドヘルパーは、その場を通過したらそのことを言葉で伝え、腕を元に戻し、再び基本姿勢に戻ります。
*ガイドヘルパーが視覚障がい者を気にして体の向きを斜めや横にしてしまうと、視覚障がい者が真後ろに入れません。後ろを見る場合でも首だけ振り向くようにします。
*1人分の幅でも通れない狭い通路の場合は横歩きの方法を用います。
*お互いにとって不安で歩きにくいので、この方法を使う時には、歩調を緩めて下さい。また、長時間この方法を使うことは避けて下さい。

(3)場面ごとの技術
〈場面1〉階段昇降
手順
①基本姿勢で、階段のステップに直角に近づきます。
②立ち止まって、上り(下り)階段があることを伝えます。
③視覚障がい者に杖か足で、最初のステップを確認してもらいます。
④ガイドヘルパーが先に上り(下り)始め、視覚障がい者は一段遅れてついていきます。
⑤ガイドヘルパーは、視覚障がい者が上り(下り)終えるところで、階段が終わったことを告げます。
*「階段終わり」と「踊り場です」の言葉を使い分けて下さい。
*段差は一段の階段と考え、同じ手順で誘導して下さい。
*階段のステップに斜めに近づくと足を踏み外す危険性があるので、必ず垂直に近づきます。
*目で確認できない視覚障がい者にとっては、階段があると言われただけでは上りか下りかはわかりません。実際とは逆に思ってしまっている場合もあるので、必ず上りか下りかを伝えて下さい。
*階段の前まで来たところで階段があることを伝えます。あまり手前で階段があることを告げると、すぐ目の前に階段があると思って足が前に出なくなったり、階段の始まりを探し始めてしまいます。
*手すりを使いたい、一人で昇降したいとおっしゃる方に対しては、その方のご希望にそっていただきたいと思いますが、安全面には十分注意を払って下さい。
*らせん階段や不規則な階段の場合、階段の形状を簡単に説明し、一段一段しっかり確かめてもらいながら昇降して下さい。ガイドヘルプのイラスト

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