座位は人間としての尊厳を取り戻す第1歩

右股関節人工骨頭術を5年前に受けたTさん(86歳女性)。
今年1月に急に歩けなくなり、在宅生活不可能とのことで施設に入所されました。
糖尿病・高血圧・低血糖・認知症などがあり、要介護5で寝たきり状態です。

お嫁さんが、らくなーるのHPを見て訪問マッサージのお試しの申し込みをされ、ケアマネさんからの紹介で伺ったのは5月半ばのことでした。
その時のTさんは、バルーン付き尿道カテーテルを使用し、足・膝・股・肘の関節が堅く「あー」と声を出すもののどこか落ち着かない感じでした。

らくなーるでは、在宅ケアの第一人者、大阪の西村先生の「関節リラクゼーションテクニック」という運動療法を用いて施術しています。
Tさんのように寝たきりで自分では体を動かすことができない方に、なるべく負担が少なく関節運動を利用して筋肉を安全に効率よく運動させます。
AZPという体に負担のかからない姿勢に近づけて関節運動を行えば、萎縮している筋肉を少しずつでも動かすことができます。

Tさんは入所後の経過がとてもよく、訪問マッサージ開始後3回目には自尿が出ていることが確認できバルーンが外れました。
バルーンが外れれば座位での施術が可能です。

「座位は人間としての尊厳を取り戻す第1歩」とは、西村先生がいつもおっしゃっていることです。
らくなーるのスタッフたちもこの考え方を大切にし、日々の施術をしています。
座れば縦の重力が加わり、筋肉が動き出します。
筋肉が動けば血行が促進され、呼吸が深くなり、自律神経の働きがよくなる。
寝ている時と見えているものが変わり、笑顔になる方もいらっしゃいます。

6月から数分間座位を試みていますが、股関節が少しずつ柔らかくなり、膝の屈伸運動が他動でできています。
肘はまだ堅いですが、おしゃべりのような声が聞かれるようになり、落ち着いて施術を受けていただけるようになりました(何をお話されたいのかわからなくて残念です)。

今はまだ座位での運動はわずかですが、体調を見ながら上肢・下肢それぞれ動かしていく計画です。
時々様子を見に来られるお嫁さんが分かるのか、最近笑顔が増えてきたTさんです。(服部)

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