私たち視覚障がい者は、眼の見え方の程度によっては一般の書店に売られている本や図書館に並んでいる本を借りて読むことが困難となってきます。弱視(ロービジョン)であれば、ルーペや拡大読書器を使用することで書物を読むことができます。
ではほとんど視力を失ってしまった方や全盲の方は本を楽しむことができないでしょうか?そんなことはありません。私たちは点字や音声によって本を読んだり聴いたりしています。点字本の場合は、活字を点訳していただきそれを読むことができます。点字が読めて読書好きの方であれば点字本を指で触って読むことで読書をしている感じも得られてよいと思います。ただし、一冊の小説や論文、雑誌などを点訳していただくと多くの点字紙を使用するため何冊にもなってしまい置き場に困ってしまったりするデメリットもあります。
音声の場合には、デイジーという録音されたCDを聴くことで楽しむことができます。
デイジー(DAISY)とは、Digital Accessible Information Systemの略で、視覚障がいなどで活字の読みが困難な人のために製作されるデジタル図書の国際標準規格です。
このデイジー図書となったCDを専用のプレイヤーで聴くことで本が楽しめます。デイジー図書は、CD1枚におよそ60時間もの録音ができることや、章や見出し、ページごとに聞きたい場所へ移動することが出来るといった優れた機能を持っています。
かつてはカセットテープに録音されたものを聴いていましたが、現在ではほとんどがCDとなりました。
録音図書の場合、メリットとしては点字が読めなくても、視力の程度に関わらず読書を楽しむことができること、一冊の本がCD一枚に収まっていることのコンパクトさがあります。デメリットとしては、専用の再生機(プレクストーク)を準備しないといけないこと、聞き流すだけなので途中で眠ってしまうこと(笑)があります。プレクストークは障がい者手帳を有している方であれば福祉制度の一環で日常生活用具として市役所に申請をすることで所得に応じて1割負担もしくは無償で手に入れることができます。
点字本にせよ音声本にせよ、一般の活字本を点訳もしくは音訳をしてもらう必要性があります。これらの作業はほとんどがボランティアさんによって行われています。ですから私たちが読書を楽しめるのは多くの方の協力により成り立っていることを忘れてはなりません。
また、点字図書館という施設がありそこで点字本や音声CDを借りることができます。全国各地に点字図書館は設けられていますが、東三河地域では豊橋市にある明生会館で本を借りることができますし最近では市民図書館などでも点字本を借りることもできるようになってきました。また、サピエ図書館というオンライン図書館があり、簡単に説明するとサピエ会員となった視覚障がい者がネット上で本をダウンロードして読むことができるサービスもあります。
ちなみに私が最近読んだ本は、点字本では中日ドラゴンズ監督、立浪和義著『勝負の心得』です。(本部 中西)