りんどうの花はつぼみの時は朝顔のように螺旋状に閉じていますが、花が咲く時は天に向かってロート状に開きます。春に咲く春りんどうもまたしかりです。
私が小学生の頃はホームグラウンドの山裾に春が来ると咲くのが見られました。枯草の中からひょっこりと顔を出し、青空を吸い取ったようなきれいな青色が印象的だった記憶があります。
その思い出があり、春りんどうが咲くという森町の天方(あまがた)城址を訪ねました。細い道を車で登った所にある山城の跡で山頂は比較的平坦でした。松の大木が何本かあり落葉がいい感じのところです。花はすぐに見つかりました。
なだらかな起伏のある城跡の松葉の間に、あちらこちらからすっくと伸びて天に向かい咲き誇る花たち。春の日差しを待っていたかのように花開いた春りんどうは、森の雫を集めたような青紫色の背丈10㎝程の可憐な花です。それが一面に咲く様は見事。ここは知る人ぞ知る場所で来る人も少なく、のんびりと思うがままに花たちとの時間を楽しんできました。
春りんどうは山野の各地に咲きますが、晴れている日でないと花は開いてくれないのですよ。
春りんどう森の雫の如く咲く（岩本尚子）
浜北支店 Ｍ